鍋って楽しいもの

鍋って楽しいもの

炉辺の火をみんなで囲むと、冬ごもりにも似た安堵と喜びを感じます。
原始の時代から、ひとは火を大切におこし、野菜や肉、魚を柔らかく煮て、
それをみんなで取り分けて食べ、命の糧にしてきました。

 

「火をともにすること」と「食をともにすること」は「命と生活の基盤を共有する」ことそのものでした。

 

その調理本能に戻るのか、私たちも寒い季節になると、鍋で煮ながらあたたかいものを食べたいと感じるようになります。

 

「一つ鍋をかこむ」という親近感は、他人行儀や感情のへだたりをなくすことに不思議なほど役に立ちます。

 

もっとも、料理献立に見る吸い物も、美しく炊き合わせた煮物も、もとの姿は鍋物。
すすけた鍋は台所に置いたままで、盛り付けた皿や鉢、椀だけを食卓に持ち出したのが、
お椀や煮物鉢のはじまりです。