鍋料理を作る器

鍋料理を作る器

普通「鍋」といえば、調理に使う鍋が思い浮かぶでしょう。
しかし、「鍋にしよう」という時は、誰でも鍋料理が頭をよぎるはずです。

 

そんな鍋をおいしく演出してくれるのが器としての鍋なのです。

 

鍋はいろいろな形や種類が豊富にあります。材質的には陶磁器、金属製、ガラス製、石、または貝殻などを鍋の代わりにするなどさまざまです。
鍋料理に一番よく使われるのが土鍋ですが、用途によって、その専用の鍋があればおいしく、雰囲気よく、なお効果的に鍋が楽しめるでしょう。

 

土鍋

 

鉄鍋でごぼうを煮ると汁までが真っ黒になってしまいますが、土鍋はこのような化学変化がもっとも少ないので、材料の持ち味を豊かに保つことができます。
また、保温性がいいので、おかゆや雑炊などは土鍋の味にはかないません。

 

土鍋は湯豆腐、ちり鍋など、水煮といわれる一連の鍋ものと、たっぷりの煮汁を用いる汁ものに属する鍋ものに向きます。

 

土鍋で汁気の少ないものを煮ると焦げ付いたり、時にはひびが入ったりするので、常にたっぷりの汁を満たすことが土鍋使用の原則です。
大きさも大小さまざま、浅いもの、深いもの、いろいろありますが、家庭では大きくて深めのものが広く利用できます。

 

はじめて使う時は鍋のアクが出やすいので、番茶や野菜くずをいれてたっぷりの水を加えて、20分くらいゆっくり煮るとよいでしょう。
また、鍋尻を濡れたまま火にかけると、割れることが多いので注意して下さい。
道具をいつくしむことも料理の楽しさのひとつです。

 

また、保存状態によってはひび割れてくることがありますが、そのような場合はおかゆを炊くとよいでしょう。
土鍋の割れ目におかゆが詰まってのりの役目をしてくれます。

 

鉄鍋

 

昔から鉄のもので煮ると鉄分が出て、人間の体に不足しがちの鉄分が自然に補給できると言われています。
鉄は銅より熱伝導率はよくありませんが、いったん温まると保持する力は抜群です。
その上、油ともなじみやすい特徴があります。
煮物によし、揚げ物によし、焼き物にも優れている鍋です。

 

鉄鍋にはすき焼き用の浅い鍋と手づるの付いた木蓋のある深い鍋があります。
すき焼き鍋は汁が少なく用いる鍋ものに向きます。
万一、汁が煮詰まって鍋底を焼いても、土鍋のようにひび割れるということがありません。

 

鉄の深鍋は野趣のある汁ものの鍋に使われますが、材料を油で炒める場合などにも特に重宝です。

 

初めて使う時は水を張って長ネギの葉や野菜の切れ端などを入れて少し煮立てて下さい。
鉄の匂いが取れます。
また、使い終わりは良く洗い、しっかり水気を拭き取り、さびないように気遣いましょう。

 

耐熱ガラスとほうろう製の鍋

 

耐熱ガラスの鍋は中の煮立ち具合が見えるので、鍋料理にあまり慣れない若い人でも扱いが楽です。
火熱にも丈夫で、鉄鍋のように材料が変色したり、さびが出たりすることもなく、さらりと洗えて衛生的でもあります。

 

ただし、和風の鍋料理の場合は、素朴とか風雅とか鍋そのものの味を食感に織り込むので、実用だけでは鍋の選択を決めにくいところがあります。

 

西洋風の鍋料理には、ほうろう製の鍋がよく使われています。
じっくりと煮込む料理には最適。
鍋の内側にはほうろう加工が施されているので焦げ付きにくくワインやレモンなどの酸に対しても優れ、使った後においも残りません。

 

西洋風鍋料理は、キッチンで煮込んで卓上には器に一人盛りとして出されるのが普通ですが、綺麗に彩色されてシンプルなデザインの鍋はそのまま食卓に並べても楽しさが演出できそうです。

 

その他の鍋

 

鍋の材質で言えば、銅鍋、銀鍋、紙鍋など用途によって使われます。
大きなホタテ貝やあわびの貝を使った貝焼きも鍋代わりの貝の焼けるにおいがごちそうになります。

 

銅製は熱伝導が非常に優れ、まんべんなく安定して熱が伝わるのが特徴です。
特に表面を一つ一つ打ち出された槌目は美しさも加わって洒落た感じです。
ただ使っているうちに薄汚れてくるのが欠点ですので、入念な手入れが必要になります。

 

小鍋立て

 

一つ鍋を大勢で囲む鍋は楽しいものですが、時には一人用の鍋でしみじみ味わう鍋もよいもの。
簡便な卓上コンロで、はま鍋や湯豆腐などを酒の肴に時の流れを共有するのは粋なものです。
小さな土鍋や南部鉄の鍋、あるいは大きな貝殻を代用するとよいでしょう。